局所麻酔なら安全?

多くの方は、全身麻酔に較べたら局所麻酔の方が安全と思われています。
しかし、これは全身状態、術式、環境などによって異なります。また、全身麻酔には気道を確保するという大きな利点があります。

 

歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静

1. 本剤の投与に際しては、歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静における患者管理に熟練した医師・歯科医師が、本剤の薬理作用を正しく理解し、患者の鎮静レベル及び全身状態を注意深く継続して管理すること。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるように準備をしておくこと。
2. 過度の鎮静(呼びかけに対する応答がなくなる程度)及び呼吸器・循環器系の抑制を避けるため、歯科・口腔外科処置を行う医師・歯科医師とは別に呼吸及び循環動態を観察できる医療従事者をおき、パルスオキシメーターや血圧計等を用いて手術・処置中の患者を観察すること。

<ミダゾラムの添付文書 重要な基本的注意より引用>

 

 

局所麻酔中に発生した事故

以下は局所麻酔の治療時に周囲で実際にあった事例です。

治療中に試適するための補綴物が脱落。短時間の窒息を生じた。

その他、リーマー、ファイルそしてロールワッテが咽頭へ滑落した例もあった。
 

局所麻酔後あるいは治療中に患者さんが気分不良を訴えた後、意識不明となった。

しばらく様子をみていたが、どのタイミングで救急車を呼ぶか決めていなかった。
 

回転器具による切削中に突然体動を生じたために口唇や舌を損傷した。

がまんをさせて治療をしていると限界を超えると突然の体動が生じやすい
 

水平位での治療中にラバーダムの下で嘔吐し誤嚥した。

術者は1本の歯に全力で集中していた
 

術野からの出血で口の中に血液が多量に貯留。

止血操作中の呼吸が維持に困難を生じた

 

下顎の手術後に口腔底が腫脹してきた。

口腔底の血管損傷が原因
 

号泣する小児をタオルで巻いて数人で押さえて治療したためPTSDとなる。

成人後も歯科治療を忌避。
 

苦痛を訴える患者さんに対して「もう少しだからがまんして!!」といいながら治療を続ける。その後患者さんは体調不良となる。

 

術者が手術をしながら同時に体の様子を見る場合は、対応が遅れる。

 

歯科治療はいつも患者の生命維持装置である気道の中で注水、切削や手術を行い、落下しやすい小器具と薬剤を巧みに駆使することを要求されます。
私はけっしてしませんが、非協力の子供や障がい者をネットやタオルでぐるぐる巻きで拘束して治療している様子を見ると、もし嘔吐、器具落下による気道閉塞やその他不測の事態が生じたときの対処の困難さを考えると最初から気道確保をすればいいのにと思ってしまいます。
以下に麻酔科医が術前から関与していれば違う結果になっていたと推測する事例を挙げます。

歯科治療中に2歳女児死亡 元歯科院長を起訴/さいたま地検
埼玉新聞 3月28日(金)23時45分配信 
 新座市の歯科医院で2010年6月、同市の女児=当時(2)=が歯の治療中に死亡した事件で、さいたま地検は28日、業務上過失致死の罪で、「●●●●デンタルクリニック」(閉院)の無職●●●●・元院長(41)=青森県五所川原市十三深津=をさいたま地裁に起訴した。

 起訴状などによると、●●元院長は10年6月13日、同クリニックで女児の前歯を治療中、上唇と歯茎の間に「ロールワッテ」と呼ばれる円柱状の脱脂綿(直径0・8センチ、長さ2・5センチ)2個を挟んだのみで、指で押さえるなどの落下防止措置を取らず、1個を口の中に落として気道を詰まらせ、翌日に東京都板橋区内の病院で女児を窒息による低酸素脳症で死亡させたとされる。

 女児は当時、激しく泣いて暴れていたため、あおむけにした女児を母親が抱きかかえるとともに、歯科助手2人が女児の頭や足を押さえ付けていた。
 女児の両親は昨年4月、元院長らに約7800万円の損害賠償を求めて、埼玉地裁に提訴している。

歯科治療での麻酔後(局所麻酔) に死亡 長崎県警が司法解剖
長崎市内の歯科医院 で7日、抜歯のために麻酔注射をされた同市内の幼稚園保母(22)が意識不明になり、2時間半後に死亡したことが分かった。長崎県警浦上署は8日、死因を調べるため、長崎大学病院で司法解剖した。 調べによると、この女性は7日午後4時ごろ、親知らずを抜くため、かかりつけの歯科医院 に行った。治療のため、歯ぐきに注射で麻酔をかけたところ、間もなく、「気分が悪い」と訴えた。午後5時ごろ、別の病院に運んだが意識不明となり、午後7時ごろ亡くなった。 

発行日=1992年12月09日 ソース=朝刊面 名=2社 ページ=026発行社=西部 文字数=225

「アスピリンぜんそく」の男性が抜歯後、ぜんそくの発作を起こして死亡
抜歯の際、アスピリンぜんそくの患者には投与してはいけない痛み止め「ロキソニン」を投与。約一時間後に帰宅した男性はぜんそくの発作を起こして意識を失い、間もなくぜんそくで窒息死した。福岡
発行日=1994年12月27日 ソース=朝刊面 名=1社 ページ=023発行社=西部 文字数=724


その他の事故については下記の検索をお願いします。

「麻酔」が危ない!? 4歳児が虫歯治療で死亡 埼玉(局所麻酔) 
2歳男児が虫歯治療中死亡 のどふさぐ 
親知らず抜歯の患者、23歳男性、麻酔注射後急死 新潟(局所麻酔) 
歯科治療の麻酔注射でショック死青森県藤崎市の女性(当時24歳)(局所麻酔)
麻酔で4歳女児死亡、歯科医書類送検へ 埼玉(局所麻酔)④と同じ事故
2歳の女児が虫歯治療で麻酔を注射された後に死亡(局所麻酔)
抜いた歯詰まり4歳死亡 医院は4500万円償え 浦和地裁支部判決 (局所麻酔)

 

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